匿名希望のおでんFortranツヴァイさん太郎

生き物、Fortran、川について書く

読書感想文 : なぜ、仕事が予定どおりに終わらないのか ? 「時間がない病」の特効薬 ! タスクシュート時間術

本稿は以下の書籍の読書感想文*1です。

  • 佐々木正悟・大橋悦夫 (2014) なぜ、仕事が予定どおりに終わらないのか ? 「時間がない病」の特効薬 ! タスクシュート時間術. 技術評論社*2.

思ったように時間を作れないことがきっかけで読み始めた本です。 作業ごとに時間を見積もり計画を立てるというのは、私も行ってきました。 しかし、なかなか予定通りに進まないものです。 何を改善すればよいのかを考える材料になればと思い手に取りました。

本書の指摘の内、特に重要なのは、1 分以上かかる作業は必ず時間を見積もることです。 実際に作業を行うにあたり、ほとんどの場合小さな準備時間が入ります。 この準備時間も見積もりに入れておかなければなりません。 小さな休憩時間でも 1 分以上使うなら見積もりに入れておく必要があります。 仕事はやった順にしか終わらないため、小さな時間も考慮しなければ、 いつの間にか仕事が想定よりも遅れてしまうことになります。 一日のあらゆる行動を記録し、それぞれどれだけ時間がかかっているかを図ることで、 一日に収まる仕事量であるかを判断することが重要です。

読了後、私はこれまでの時間の使い方を振り返りました。 その結果、今までは準備時間の見積もりが出来ていなかったと考えました。 例えば、帰宅する前の食器の片づけなど、小さな作業の時間が積み重なり、 見積もりとの大きな差になっているのではないかと考えました。 実際に、異なる作業間に 5--10 分程度の時間を使うことを想定すると、 見積もりより予定が遅れることが少なくなりました。 さらに、これまでの仕事量の想定は、一日には収めるには無理のあるものであった ことがわかりました。

注意しなければならないのは休憩時間と準備時間を区別することです。 作業後に 30 分休む場合、作業後に 5 分の片づけがあったとしても、 休憩を 25 分にしてはなりません。そのようにしてしまうと、休憩が減り、 その後の仕事の能率が下がってしまいます。 本書でも、休憩時間を予備時間とすることを禁じています。 同様に、睡眠時間も考慮しなければ、一日が十分な長さであるかを図れません。

以上のように、一日の中の全ての 1 分以上の行動と休憩を記録して、 無理のない仕事量はどれだけであるかを把握しなければ、正確に仕事時間を見積もることができません。 正確に見積もれないため、仕事が時間通りに終わらないという事態になります。 私は仕事以外にかかっている時間の見積もりに失敗していたために、 一日に収まる仕事量を見誤っていたということです。

上記の事柄以外にも「先送りを繰り返して時間を失わない技術」など、 時間の使い方についても本書は言及しています。 ただし、いわゆる隙間時間の活用のような、小さい時間の活用は唱えられません。 隙間時間にできることは限られている上、隙間時間はあまり存在しないためです。 一日は活動と休息で構成され、一日を活動でいっぱいにすることは むしろ避けるべきことであるとされます。

なぜ仕事が予定通りに終わらないのか、という問いに対し、 それは時間があると思い込んで仕事を詰めすぎているからだ、 というのが本書の回答です。 本書で明らかにされるのは、時間捻出のための技術というよりも、 実際に使える時間と思い込みの差がどれだけあるのかをあぶりだす技術です。 現在やりたいことができているかに関係なく、もっと時間を捻出できるはずだと 思っている人こそ、一読の価値があると思います。

*1:書評よりも読書感想文の方がしっくりきたので、読書感想文タグを作りました

*2: